★Information★

ドッグラン・エスパーニャ/
ピレニアンマスティフクラブ
(日本支部)

〒761-0705
香川県木田郡三木町大字井上3330−9
電話:087-891-1155

マスティン・デル・ピリネオ(ピレ二アン・マスティフ) スタンダード及びその解説

 監修 : Rafael Malo Alcrudo (本犬種専門の国際審査員)

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 犬種名称  :             ピレニアン・マスティフ
☆ 

 別   名  :   マスティフ・ピレナイコ、モスティン・ダラゴン、モスティン・デララゴ

 

 地理的分布 :   アラゴン・ナバーラ地方のピレネー山脈地帯、アラン谷間地帯

 

 犬種分類  :   モロシア犬、B型 

                                       翻訳 : C.Sugiyama                                                                         

 
名称
解説
一般外貌および性格

(全体)

大型でがっちりした長方形の体格。

均整がとれ、極めて力強く、筋肉に富む。骨格は緊密。大型であるにもかかわらず、動作が鈍かったり、不活発であってはならない

人懐こく温和で上品、非常に知能が高く、不審な部外者に対しては勇敢で猛々しい。他の犬に対しては、自分の力を心得ているので友好的。

必要とあらば、闘争に巧みであり、何世紀にも渡る狼との戦いを通じて得た行動を示す。吠え声は重厚、表現は明敏である。

現実にはこの犬種はパワフル、魅力的かつ機能的である。
横から見ると長方形で、体系の構成は健全であり、性格は均衡がとれている。

用途

番犬・防御犬。過度に臆病な犬、性格の均衡が取れていない犬は繁殖に使用するべきではない。

過去には、狼・熊といった害獣に対する防衛のために使用された。現在は、住宅の番犬、飼い主の防衛といった作業を完璧にこなし、極めて訓練性能が高い。

我々は本犬種の性格を重視する。本犬種は社交的、勇敢で自信に満ちていなければならない。牧羊犬種ほどではないにせよ、他のモロシア犬種よりずっと訓練性能に富む。

体高

体高の上限は無い。均等が取れている限り、体高が高い方が良い。

<下限>
牡で 77cm 、牝で 72cm 。しかしながら、この下限を大幅に超過しているのが望ましい。牡は 81cm 、牝は 75cm 以上あったほうが良い。

これは本犬種のスタンダードの大きな間違いの一つで、全責任は私(ラファエル・マロ)にある。セント・バーナードを含む他のモロシア犬種は本犬種より低い下限を決めているのであるから、グレート・デンのような制限を適用するのは意味が無い。

誰でも皆、大柄な犬が好きなものだが、構成の緊密さと力強い歩様も必要である。
いずれにせよ、犬質の高い犬の場合、我々、本犬種専門審査員は、キ甲(肩の間の背の隆起) での体高が下限より 2cm 程度低くても、そうひどくは減点しないものである。

体高・体長比

長方形、体長はキ甲(肩の間の背の隆起) での体高より幾分長い。
均衡が取れていること。

頭部

大きく、がっしりしており、やや長い。頭蓋(額面)の長さと口吻(鼻梁)の比は、 5 対 4 である。額面と鼻梁の側望は平行性の傾向はあるが、かすかに上部の方が広い。

上部から見ると長く伸び平坦であり、口吻と頬の部分の幅がそう目立たないこと。
側望は深くあるべきで、狼のような形でないこと。

モロシア犬種の頭部について記述しているのである。
頭部はかなり大きいが、バランスが取れていなければならない。

犬を観察すると、頭部が印象的で目立たなければならない。口吻は深く見えることが重要である。口吻(鼻梁)は、明らかに頭蓋(額面)より短いこと。

頭蓋部

幅広くどっ し りしており、横から見ると中高。
頭蓋の幅は長さと同じか、幾分広い。後頭骨稜は盛り上がっている。

ストップ

緩やか だがはっきり認められる。

スタンダードは頭蓋の特徴をはっきり記述している。ストップははっきりしているが、過度に深くはない。横から見て、頭部のシルエットは鼻に向かってゆるやかに細くなるが、ほぼ並行している。

ストップは在るべきで、グレード・ピレニーズ ( ヨーロッパ系 ) のようにストップがゆるやかすぎる犬は減点され、又、セント・バーナードやマスチフのようにストップが過度、角度 90 度に近いものも減点される。

鼻梁

側面はまっすぐ。下から見ると、幾分三角形で、根元は広く、鼻にむかってゆるやかに細くなるが、鼻先がとがってはいない。

犬質の高い個体で、鼻梁線がわずかに凸状のものがしばしば見られる。こういう犬は特有な表情をしており、減点はされない。口吻の細いもの、先細りで尖がったもの、口吻の極度に短いものは望ましくない。

鼻鏡

黒く、湿っており、幅広い。
色素の薄い鼻鏡は、たとえ部分的であっても、非常に望ましくない。

口唇

上唇は下唇をしっかりと覆うが、たるんではいないこと。
下唇ははっきりした口隅を形成する。唇の粘膜部は黒いこと。

上唇は、深い口吻という感じをかもしだす。
薄い唇も、極端に垂れ下がった唇も犬種としての特徴を損なうので、減点される。

いずれにせよ、ピレニアン・マスチフの頭部はモロシア犬特有のものであり、グレート・ピレニーズのものとははっきり異なる。
口唇の軽度の色素不足は許容される

歯牙

白く、力強く健康的である。犬歯は大きく、長く、先端がとがり、上下がしっかりかみ合う。

臼歯は大きく、しっかりしている。前歯は幾分小さめ。
かみ合わせは 鋏状 ( 正常咬合) 。前臼歯は全てそろっていること。

マステイン・デル・ピリネオ協会総会の決鼓に基づき、非常に優秀な個体に関しては、切端咬合、もしくはアンダーショットでも、全ての前歯が上下接触しているものは許容される。

ドッグショーでは、前臼歯 2 本欠歯の犬には、「エクセレント評価 」は与えられない。

小さく、アーモンド型、はしばみ色、出来れば濃褐色。まなざしは注意深く、上品。感じが良く、知的だが、敵対者に対しては極めて厳しい。

丸い目、非常に大きすぎたり、小さすぎる目、明るい色の目、無表情な目は望ましくない。

黄色またはベージュ色の犬は虹彩がより明るくてもよい。
両眼の間は、離れすぎていても、寄りすぎていてもいけない。

眼瞼

色素は黒く、出来れば、注視した時には眼球に密着する。下瞼がわずかにゆるんでいることが良くあり、犬が平静にしている時には、瞬膜が僅かに見える。

スタンダードは本犬種の目瞼がどうあるべきかを正確に描写している。
従って、あまりに垂れた瞼は、本犬種の典型的な表現を損なうので 避けたい

中位の大きさの三角形の垂れ耳。横から見た、目の線の上の位置から生えている。

犬が平静にしている時は、垂れて頬にくっついている。
注視する時は、顔から離れ、根元から 3 分の 1 が部分的に立 つ。

断耳してはならない。大きすぎる耳、耳の付け根が低すぎたり、高すぎる犬は頭部の表現を損なうので、減点される。

口蓋

黒く、溝がはっきりしている。

頸 部
円錐形、太く、力強くて筋肉質で柔軟である。
頸部箇所の皮は厚く、幾分ゆるい(二重になっているが、極端にだぶついてはいない)。「垂れ皮」は、 少なすぎるよりは多い方が良い。
胴体

全体 : 長方形。非常に力強く頑丈、パワフルだが柔軟で敏捷。

キ甲(肩の間の背の隆起) : 顕著である。

背部

力強く、筋肉質。胸部は広くて丸いが、 扁平ではない。体高と胸深の比率は、約 10 対 7 0 。

背腰部は長く、幅広くて力強く、後方に向かって幅が狭くなる。
肋部が狭かったり、平坦なもの、腰部が短いものは望ましくない。

広く力強い。背腰部と地面の水平線に対して、 45 度の角度で傾斜している。尻はキ甲(肩の間の背の隆起) と同じ高さ。

狭かったり、緩かったり、候斜し過ぎた尻は減点。
犬質の高い個体については、動きの均衡に影響を与えない限り、尻が僅かにキ甲(肩の間の背の隆起) より高くても許される。

背腰部の線

(トップライン)

動いている場合も、真っ直ぐで水平。全体的な動作を損じない限り、トップラインがごく僅かに凹状であるのは許容される。亀背は大きく減点。

胸部

広く、深く、筋肉質で力強い。胸骨の先端ははっきりしていること。
胸部がしっかり肘まで達し、且つまた肘の下まで 達するような広く、深い胸は大いに尊重される。貧弱な胸部は望ましくない。

腹部・ 側 腹

腹部は緩やかに狭まる。股は幅広く、下腹と大腿の間の皮膚はゆったりしている。 グレイハウンドのような巻き上がった腹は、本犬種の特徴から完全に外れるので、望ましくない。下腹部の線と地上までの間があまりに開きすぎるのも好ましくない。

根元は力強く、生え際の位置は上過ぎず、下過ぎない。
力強く、柔軟で、体の他の部分より長く柔らかな飾り毛に覆われる。

静止時は、下方に支持し、長さは飛節に達し、先端の 3 分の 1 は上方に反る。
行動中または興奮時は、弧を 描いて 上方に上げ、先端ははっきりと反り返るが、巻き尾になったり、背部にもたれかかることはない。

スタンダードは非常に正確に支持の仕方とその他の特徴を描写している。
如何なる場合も、背にもたれかかる尾と完全な巻き尾は、全く望ましくない。

前肢

完全に垂直。正面から見ると、真っ直ぐで平行している。筋肉・膝がはっきり見える。 前腕の長さは、中手骨の 3 倍。骨質強健。前繋ぎは力強い。
骨格が強く、正しく垂直のものが特に高く評価される。

傾斜しており、非常に筋肉質。上腕より長い。
肩甲骨の位置は、前半身の外貌とパワーに大いに影響する。
過度に垂直な肩は、本犬種に特有で望ましい幅広い歩様を妨げる。

非常に力強い。肘は強健で胴に密着している。
静止時も運動時も、肘は体躯に密着しているのが正しい。

胸が非常に狭い犬に肘が外転することが多いが、これは非常に大きな犬にもしばしば表れる傾向があるから、この場合は肘が幾分開く傾向は好ましいので、減点する前に、考慮する必要がある。

いずれの場合も、正面が虚弱なもの、運動が調和のとれないものは減点しうる。

前腕

骨格堅固。真っ直ぐで力強い。肩関節角度 :100 度に近い。
犬が力強い前駆と幅広い歩様を持つために、この角度は重要である。
肘関節角度 :125 度に近い。

前繋

横から見ると、傾斜は少ない。上腕骨の延長であると言ってよい。
正面から見て、湾曲したり、外転したものは望ましくない。

猫足指はしまっている趾骨は強くて、丸く隆起し、厚い。
爪と指球は強くて硬い。指間の皮膜は緩やかで毛に覆われる。
開きすぎた指も、いわゆる兎足も減点される。

猫足で、やや楕円形。前肢の趾より幾分長い。
狼爪が一本または二本あることもある。狼爪は除去してもよい。その他の要素の長所が同点なら、二本狼爪がある犬の方が好ましい。

後ろから見て、肢は平行しており、曲がったり、外転したものは減点される。

後肢

力強く、筋肉質。横から見ると、角度適切。正面、側面から見た肢は適正のこと。飛節は内側にも外側にも曲がっていない。犬が楽々と力強く且つ優美に推進出来るようでなければならない。

健全で正しい構成の後躯は、いずれのモロシア犬種でも基本的なことである。不完全な後躯は、大きく減点されねばならない。正しい構成無しには、どんな犬種といえどもセレクト出来ない。

力強く、筋肉質。適正な後躯推進の基本条件である、大腿骨を動かす筋肉のサイズと緊密度は大いに評価されねばならない。

長く筋肉質で堅固な骨を持つ。 脛骨 ( けいこつ ) と 騑骨 ( ひこつ ) の総体が短いと、角度が開いてしまい、いわゆる 棒立ちで、正しい角度とは云えない。

<膝関節角度>
120 度に近い。

飛節

はっきり認められ、 腱が明らかに見えること。
静止時にせよ、運動中にせよ、 ○ 状、 × 状肢勢は望ましくない。

<飛節角度>
開いている。約 130 度。説明でわかるように、本犬種の後肢角度は緩やかである。

歩様

歩様はトロットが好ましく、調和がとれ、パワフルで優美なこと。
脇引きしたり、側対歩はしない。

本犬種は活発に行動すべきで、強力な後肢の推進力により、前肢の歩幅も大きい。前後躯の運動をしっかり受け止められないような、欠陥ある歩様は減点すべきである。

皮膚

しなやかで厚く、ピンクがかった色。粘膜は黒くなければならない。

被毛

密に生えており、厚く、やや長い。
胴体の被毛の長さは、平均して 6 ~ 9 センチ。

背部、首、下腹、四肢の後ろ、尾の毛は、もっと長く、これらの部位の被毛は胴体の毛ほど硬くない。被毛はばりっと硬く、軟毛ではない。

被毛は粗く、硬いことが重要で、長すぎたり、短すぎる軟毛は減点。

毛色

基本的には白で、頭部のマスク ( 有色部分 ) ははっきりしていること。

大抵は、頭部のマスクと同じ色が体躯に不規則に広がっているが、白と有色部の境界ははっきりしている。

両耳は常に有色であること 。
三色や、全身白は望ましくない。四肢と体の先端部は常に白い。

マスクはくっきりしており、有色部のふちははっきりしている方が良い。
被毛の根元の方はより薄い色で、出来れば白が理想的である。

最も尊重される色は、純白に 灰色 黄金 濃い黄色 褐色   明るいベージュ 砂色 まだら の順である。

赤い有色部分や、地色が黄色がかった白は望ましくない。
スタンダードは、本犬種の典型的な色全てを記述している。

色は、いずれも出来る限りはっきりしていることが望まれる。
曖昧な色や、頭部のマスクがはっきりしないもの、有色部分が非常に広いものは減点されるべきである。

欠点(軽度)

・少々肉がつきすぎの頭部 ( 顔 ) 。

・トップラインが、運動中に曲がったり、やや波状になるもの 。

・前臼歯が一本欠歯。切端 咬合 。

・軽度のシャイ。

・やや波状の被毛 。

・胴体部の毛が 9 センチをやや上回るもの。

欠点(重度)

                       ~ エクセレント評価は与えられない ~

・先の尖った口吻。または、過度に先の太い口吻。

前繋ぎと 趾 が全体的に緩くて弱いもの。肢勢が正しくないもの 。

・数本の前臼歯が欠歯。外傷でない理由で、犬歯が欠けたもの。

・切歯の咬合に多少難あり。

・トップラインが凹状。

・臀部の高さが明らかにキ甲(肩の間の背の隆起) より高いもの。

・歩行中、前脚が交差する 。

・運動中及び静止時のX状肢勢。

・非常に波状または縮れた被毛。胴部の毛が 6 センチより幾分短い、もしくは 11 センチより幾分長い。

頭部に有色のマスクがないたは、耳が有色でない。

断耳、断尾してある。

・眼瞼内反。

・総体的に、性格の均衡がとれていない。

・虚弱で不活発な外見。

・背に負った尾。飾り毛に欠ける尾。先端が上に反っていない尾。

欠点(失格)

           ~ 純血度確認不可と考えられる ~

・鼻鏡が真中で割れている。

・過度なアンダーショット、またはオーヴァ ー ショット。

・鼻鏡と各部粘膜に色素が無い。

・毛色で白い部分が無い。体の先端が白くない。

・全身白い。

頭部に有色部 ( マスク ) が無い。

・胴体の毛が 4 センチ以下、または 13 センチ以上。

・両陰伏睾丸 、片睾丸 。

・有色部が白地にはっきりと出ていなくて、混血をうかがわせるもの。

http://www.otaula.com/estandar.htm        FCIスタンダード解説(スペイン語)

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